「7つの習慣JⓇ」の授業の中で,PREP(プレップ)法と言って上手にプレゼンするための基本的なことを学びます。小学生向けにもこのPREPはとても役に立つ授業で,伝えたいことをわかりやすく完結に相手に伝えることができるようになります。
社会人でも上司への報告や相談する際,あるいは会議などでの資料説明やプレゼンなんかでもそのまま応用できてしまう便利なスキルなので,ぜひとも小さいうちからこういうことを覚えておくと,便利ですよ。
実際に僕はPREPについて,企業研修で何度も耳にしていますし,子どもたちの発表を聞いていても,きれいにPREPの公式に当てはめてプレゼンすると,理路整然としていて,ものすごくわかりやすく,それまで要領を得ないたどたどしい説明の仕方だった子どもたちも,あっという間に素晴らしいプレゼンを披露してくれるようになります。
先日,「7つの習慣JⓇ」を今教えている女子生徒からメールをもらいました。
高校の生徒会に立候補するそうなのですが,その候補者演説の原稿を一度読んで欲しいからと送ってきてくれたのです。
半年で何回かやってきたPREP法によるプレゼン授業の成果が出ていて,PREPを用いながらも単にテンプレートに当てはめるだけではない,素晴らしい表現力でもって構成された内容で思わず舌をまいたものです。
「7つの習慣JⓇ」は,小学生向けアクティブラーナーコースでも,社会人になって時々使うビジネススキームを意識したような授業が何回かあります。思考を助けるためのデータの分析をしたり,より良いアイディアを捻出するためのブレストのようなことを子どもたち同士でやったりもします。もちろんガイドラインがおおまかに子どもたちを誘導するようにはできているのですが,それでも実際に目の前で子どもたちが話し合っているのを目の当たりにすると,なんとも高度過ぎて,ちょっとびっくりすることはあります。
言われたことしかできない大人たちと比べても遜色ないんじゃね?みたいなことが頭をよぎることもあるくらいです。
ただ,これが中学生になるとちょっと様相が変わることがあります。
暗示されたガイドラインに従うことを反射的(反応的)に嫌がることがあって,チャレンジすることなく最初から無理とか,こんなの意味ないとか,自分のやり方の方がいい,などと口にしたり,実際に行動を拒否したりします。
そういうことはラボでの学習においてもやっぱりあります。
たぶん,ご家庭でも同様のことがあるんじゃないでしょうか。
いわゆる反抗期のようなものだと思います。
そういうときどうするかというと,僕は本人の意志を尊重することを選びますが,おおむねそれで良い結果になることはありません。しかし,それを体験して,そのうえで試しに教わったことを実行に移そうと自分で納得し,腹落ちしなくてはどちらにしてもうまくいくことはないので,こんなときは,じっと我慢するしかないと考えています。
具体的に言えば「無視」です。まぁそうしたいならすれば?でも,フォローはしませんよ。という意思表示ですね。
適切でない行動はすなわち彼らの主張でもありますから,その主張は大人は受け入れないということをこちらも主張するのです。その代わり,コミュニティ全体にとって適切な言動についてはしっかりと承認してあげることが大事です。
ポイントは「コミュニティ全体にとっての適切な行動」が基準になることです。決して,大人にとって都合がいいとか,僕の言うことを聞いたからOKとか,そういうことじゃなくって,コミュニティ全体,うちでいうならラボにいる全員にとって適切である言動のことです。ラボの目的,生徒たちがラボに来ている目的にそった言動ということになります。
そしてもうひとつは,フォローしないということです。
困ったことになれば,いつでも親のフォローが入る環境では,自身の選択や言動への内省が促されませんから,反抗すれば親の愛を受けられるという間違った理解になりかねません。子どもにとっては褒められることも叱られることも,ベクトルは真逆ですが,価値は同じですから。
そっちの方向にがんばっても,フォローは受けられないことを理解してもらった方が適切な努力を促すことができます。この時ポイントになるのが,適切な方向への努力を承認してあげることです。
適切な方向への努力の結果ではなくて,努力を承認するのです。
結果の承認は,結果が出せない子どもたちにとっては手が届かない無茶な要求です。がんばったら必ず必要なときに,必要な結果が出るなんてことがないことは大人ならみんなわかっていることだと思いますが,自分の子どものことになるとついつい忘れちゃうんですよね。
がんばったらがんばったことを認めてあげてください。
本人は80点ぐらいのがんばりだと主張しているけれど,たとえばそれが大人にとって30点だなと感じるようなら,せめて30点分は認めてあげましょう。これほんと大事です。
心配せずとも,時期を過ぎれば,小さなことに反発するよりも,なにがもっとも良い方法なのかは自ずと知れるので,反射的な拒否をするようなことはなくなりますが,ただこわいのは「高校入試」のようにスケジュールが決まっていて,それを自由にすることができない場合です。
本人が気が付くことを待っていては,「高校入試」には間に合わなくなってしまうことも想定しておかなくてはなりません。
中学2年生までに,学習や学習方法だけでなく,普段の生活や,自分自身との向き合い方について様々な自分流を試してみて,さらに学校の先生方やご両親との向き合い方(ラボに来ているみんなは僕との関わり方を含めて)をひととおり試し終えて,そのうえで「誰かの言葉にも耳を傾けて,真摯に向き合うこと」ができれば,高校入試にも間に合うと思っています。
3年生になってもなお,このような状況が続けば,遅れを取り戻すための時間が刻一刻と減っていくので,これはなかなかたいへんなことです。
無理矢理勉強させようものなら,さらにやらなくなります。
だからこそ,小さいうちから本人の意志を尊重してあげることが大事なのです。
小さな反発は彼らの精一杯の抵抗,自分はもうひとりの人間で,意志を持っているのだという主張ですから,これを無碍に押さえつけるようならその反発はさらにひどくなるのは,まぁあたりまえなんでしょうね。
大人も子どもも,覚悟をもって臨まなくてはならないのかもしれません。