コーチングについて,少しだけお話します。日本の人事部/人事労務用語辞典では,コーチングを次ように解説しています。コーチングは流派が無数にあって,考え方や解釈はその流派によってものすごく細分化しているのが現状です。
コーチングとは,対話によって相手の成長や自己実現、目標達成を助ける人材開発手法の一つです。コミュニケーションによって気づきや新たな視点を与え、目標達成に必要な行動プロセスを導き出す手法です。
出典 『日本の人事部』人事労務用語辞典
関連団体もいくつもあって,どれが正しいとか,どれがいちばんいいとか,そういう区分けはもはやできなくなっているので,いちばん良いのは実際にコーチングを受けてみて実体験として自分がどう感じるかを確認することです。
世界的には,90年代後半から欧米で新たなマネジメント方策として脚光を浴び,日本でも2000年初頭からビジネスシーンで少しずつ活躍の場を増やしており,マネジメントの大きな変容を起こすに至っています。
最近でも,国内トップIT企業の調査によれば,上意下達の指導法「ストロング型」が短期に効果をあげるが,モチベーションが維持しづらく,「やらされ感」を持ってしまうこと,に対し「コーチング型」指導では,自身の内側から生まれる内的動機を掘り下げることから,長期間に渡りモチベーションを維持することができ,かつ効果も高く持続することがわかっています。
MDL式コーチングでは,ビジネスシーンで用いられるコーチング手法にカウンセリングやメンタリングなどの技術を統合して用いることで,子どもたちに寄り添うことに重心をおいています。中高生に響きやすく,ジリツを促すためことを何よりも大事にしています。
MDL式コーチングは,ひとことでいうなら
「コーチとの対話を通して,自分としっかり向き合うことで,内側から活きる力を生み出すコミュニケーションスキーム」です。
とりわけラボ室長の手島がこれまでに取り組んできたビジネスシーンにおけるコーチングをもう少し砕いて,その源流である「クライエントの内にある力を信じ,同じ方向を向いて共に目標の実現に向かって走る」という基盤的な考え方をもとにして,中高生向けにアレンジをしました。思春期特有の「自分は何者であるのか」といった哲学的な戸惑いや迷いについて,真剣に考えることの気恥ずかしさや,あるいは曖昧で矛盾をはらんでいる「社会」に誤魔化されてしまわないように,社会の象徴としての「オトナ=コーチ」に問い,ひいては自身(社会の一員)に問うための「時間」をしっかりとつくることに大きな意義を置いています。
言ってみれば,
受験テクニックや基礎学力の理解を指導するこれまでの一般的な塾の役割を,目に見える大きな筋肉を鍛える筋力トレーニングと例えるなら,
ラボの行うコーチングによる学習方策は,体幹,インナーマッスルを鍛えるトレーニングと言えます。
直接,定期テストの点数をあげたり,ナントカ高校に合格!を目指すものではありませんが,人生の目的はもっと大きく,副次的な視点では自動的にそれらも含んでいるでしょうから,まっすぐに目標に向かえば自ずとついてくるものだと信じています。
逆に言うと,ナントカ高校に合格しなかったとしても,人生においてはひとつの出来事に過ぎず,目的を達するためのひとつの指標を失っても「達成するための方略」は決してひとつではありませんから,別のルートから頂上を目指せばよいのかなぁと,そういうものの見方が子どもたちに芽生えて欲しいなぁというのが,ラボでコーチングをする者としての願いです。