安城市の自立学習型コーチング塾「ミライデザインラボ」です。
中間テストの前、お子様がこんな風に言っていたことはありませんか?
「今回のテスト範囲、もう完璧だわ!」
「社会なんて、余裕だよ」
その自信に満ちた言葉に、親として「そうか、頑張ったんだな」と胸を撫で下ろしたのも束の間、返却された答案用紙を見て、愕然とする。 「…あの自信は、一体どこから来たの?」
分かっていないはずなのに、なぜか自信に満ち溢れている。 そして、点数が悪かったことに、誰よりも本人自身が驚いているようにさえ見える。 この不可解な現象は、お子様の性格や、ましてや嘘つきだから、というわけでは決してありません。 これは、「ダニング=クルーガー効果」として知られる、誰の心にも潜む、非常に興味深い認知バイアス(思考のクセ)なのです。
■ 「自分は平均以上」と、なぜか思い込んでしまう脳の仕組み
「ダニング=クルーガー効果」とは、一言で言えば、「能力の低い人ほど、自分自身を過大評価してしまう」という心理現象です。
これは、米コーネル大学の心理学者、デイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーが行った実験で明らかになりました。彼らの研究によると、能力が低い人は、以下の2つの困難を同時に抱えていることが分かったのです。
- 自分の能力が低いことに、気づけない。
- 他人の能力の高さを、正しく認識できない。
これを勉強に置き換えてみましょう。 ある単元を半分しか理解していない生徒は、「自分が何を理解していて、何を理解していないか」を客観的に判断するための知識そのものが欠けています。 そのため、教科書を一度読んだだけで、「全部わかった気」になってしまう。自分の知識の穴が見えていないので、「完璧だ」という根拠のない自信が生まれてしまうのです。
逆に、本当にその教科を極めているトップ層の生徒ほど、「まだ自分には足りない知識がある」「この問題には、もっと深い考え方があるかもしれない」と、自分の能力を過小評価する傾向があることも分かっています。
つまり、「分かっていない」からこそ、「自分が分かっていないという事実」に気づけず、自信満々になってしまう。これが、この現象の正体です。
■ この現象の根本原因は「メタ認知」の欠如
では、この厄介な「ダニング=クルーガー効果」から抜け出すためには、何が必要なのでしょうか。 その鍵を握るのが、「メタ認知」という能力です。
「メタ認知」とは、一言で言えば「自分自身を、もう一人の自分が客観的にモニタリングする能力」のことです。「知っている自分」と「知っていると思っている自分」を、冷静に見つめる力、と言い換えてもいいでしょう。
メタ認知能力が高い生徒は、 「この英単語は、意味は分かるけど、スペルはまだ怪しいな」 「この数学の公式は覚えたけど、応用問題で使えるかは、まだ自信がないな」 というように、自分の理解度を正確に測ることができます。
一方、メタ認知能力が低い生徒は、このモニタリング機能がうまく働いていません。そのため、「教科書を読んだ」という事実だけで、「理解した」と判断してしまい、「わかったつもり」のままテストに臨んでしまうのです。
■ 家庭でできる、メタ認知能力を鍛える「魔法の質問」
「ダニング=クルーガー効果」に陥っているお子様に、真正面から「あなたは分かっていないのよ!」と指摘しても、反発を招くだけで、何の効果もありません。
大切なのは、お子様自身に「あれ、自分はもしかして、分かっていないのかもしれない…」と、自ら気づかせることです。 そのために、私たちミライデザインラボのコーチングで常に実践している、メタ認知を鍛えるための「魔法の質問」があります。
それは、お子様が「この問題、もう完璧!」と言ったときに、こう問いかけるだけです。
「そうなんだ!すごいね! じゃあ、この問題の考え方を、先生になったつもりで、お母さん(お父さん)に説明してくれる?」
この質問は、単なる知識の確認ではありません。 自分の頭の中にある、断片的で曖 fous な知識を、筋道を立てて、自分の言葉で再構築するという、非常に高度な知的作業を要求します。
この「説明する」というアウトプットを試みたとき、お子様は初めて、 「あれ、なんでこうなるんだっけ…?」 「言葉でうまく説明できない…」 という「自分の理解の穴」に、自ら気づくことができるのです。 この「気づき」こそが、メタ認知能力が働き始めた瞬間であり、本物の学びへの入り口です。
■「分かったつもり」の壁を越えるために
「わかっていないのに自信満々」という状態は、お子様の成長を妨げる、非常に厄介な壁です。 しかし、それはお子様の性格の問題ではなく、「メタ認知」というスキル(技術)を、まだ身につけていないだけなのです。
私たちミライデザインラボは、単に教科の知識を教える塾ではありません。 日々の対話、質問、そして「説明させる」というコーチングを通じて、生徒一人ひとりのメタ認知能力を鍛え、自分自身の学習を客観的にデザインできる「自立した学習者」を育てることを、最も大切な使命としています。
もし、お子様の「根拠のない自信」と「実際の成績」のギャップにお悩みでしたら、ぜひ一度、私たちの無料学習相談にお越しください。 お子様が今、世界のどこに立っているのか。その現在地を客観的に知り、本当の目的地にたどり着くための地図を、一緒に描くお手伝いをさせていただきます。