みなさんが苦手にしている現在完了形ですが、
現在完了形 have + p.p.(過去分詞)
「完了」「経験」「継続」「結果」
と覚えているのではないでしょうか。
4つのカタチを覚えるのはもちろん大切なのでしょうけれど、本質的には「完了」と「継続」だけをイメージとして持っておくとよいと思います。
実は、中学3年生の英文法でのネックになっているのがこの現在完了形です。
どうしてみんながこれを苦手にしてしまうかというと、英語の現在完了形の時間感覚は日本語にはないものだからなんですね。
日本語は、過去も完了も同じ表現をしますが、英語ではこれを別の扱いをしているので感覚的に理解ができないのが原因だと私は思っています。
(1)He cleaned the room.
(2)He has cleaned the room.
この2つの文章、(1)は過去形で、(2)は現在完了形なのは見てとれると思いますが、日本語ではこの2つの違いをほとんど意識しません。いずれの文も日本語で言えば過去の助動詞である「た」で理解することができるからです。
日本語の助動詞も、昔は「過去」と「完了」を使い分けていましたが、長い年月をかけていつのまにかひとつになってしまったんですね。
したがって日本語では今やこの2つの違いをはっきりと使い分けていません。使い分けていないので、違いは違いでなく、似たようなもの、同じもの、という認識になってしまっているんです。
(1)He cleaned the room. 彼は部屋を掃除した。
(2)He has cleaned the room. 彼は部屋を掃除した(結果、今は部屋がきれいだ)。
(1)の過去形は、過去のある時点で「掃除をした」という出来事が起きたことを示しています。厳密に、今その結果どうなっているのか?はわからないんですね。そのあと汚してしまったかもしれないし、今もまだきれいなままかもしれない。
対して(2)の現在完了形は、同様に「掃除をした」という和訳になりますが、掃除をしたという出来事と、その結果としての現在の状態をあわせて示しています。掃除をしたのだから、結果として部屋はきれいだろうと考えるのが自然ですね。
こんなふうに、日本語には違いが意識されなくても、外国語において意識されることはたくさんあります。
その国の文化を背負っているからですね。
たとえば、日本語の「雪」は「ぼたん雪」「粉雪」など状態や水分量などで数種類わかれていますが、エスキモーのひとたちは「雪」の種類はもっと細分化されていてたくさんの言葉があります。彼らの生活においてその違いがとても重要だからですね。
日本語では暖かい水と冷たい水を区別して「お湯」「水」なんて言いますが、英語には「お湯」に相当する単語はなく、hot water などと形容詞を使って表現します。
こういった違いを意識することが、外国語を学ぶにあたってとても大切です。
現在完了形は、過去の出来事だけを示しているのではなく、その結果どうなのか、その状態が今なお継続しているなど、日本語にない時制感覚を持っていることを意識すると、理解がすすむと思いますよ。