20年ちょっと名古屋大学で学生支援の仕事をしていました。
名古屋大学に在籍する学生さんたちはみんな小中高と優秀な成績で,いわゆるクラスに一握りいる「勉強できるヤツ」だったひとです。
学校の勉強ができないひとたちは,こういうひとたちのことを,あたかも自分とは才能が違う特別なひとたちだと思っています。
頭良いひとはいいよね。
アイツ天才だもん。勉強しなくてもできるから。
普通はあんなふうにはできない。
なんてね。
言うんです。
けれど,それ間違いです。
都合よく,自分と切り離して「別次元の生き物」扱いすることで,彼らと違う自分を傷つけないようにしているだけです。
断言しますが,「頭良いからできる」と彼らのことを評価するひとたちに,彼らと同次元の学習量と学習内容をこなしているひとはいないですね。
彼らの生活を見ていると,こと学習という面だけ見れば,すでに日常的に質,量ともに高いレベルで行っていることが簡単に見て取れます。
それはもう段違いのレベルです。
そういうレベルの高い学習を,小さい頃からコツコツと続けてきている実績。
そのたいへんな苦労は想像に難くありません。そういう地道な努力があってこその高学歴なのは間違いありません。
決して「頭良いから」という一言で片付けられるものではないのです。
でも多くのひとたちは,「そういうことにしておけば,自分がダメなヤツと思わなくても済む」,あるいは「そういうことにしておけば,自分はたいへんな努力をしなくて済む」という心の奥にある不安や心配,恐れ,と向き合わなくてもいいという理由で,彼らの必死の努力に目をつぶるのです。
自分から目を背けるのです。
名古屋大学の医学科にいたとき,とりわけ臨床の現場に実習にいく5,6年生のみんなの勉強量は本当にすごいなと舌を巻いたことがあります。実際の現場にいくのですからあらかじめ自分が担当する疾患や体のことは念入りに予習が必要ですし,失敗があってはいけませんからただ知っておけば良いということでもありません。
朝一番から夜まで病院にいたと思えば,帰ってきてから自習室に閉じこもって調べ物をしたり,同時に次の試験の勉強もします。そのうえで学生さんですから,学生生活を楽しまなくてはいけないのです!
これを毎日。
たいへんだーなんて言いながらも普通にこなしていくのです。
毎日がんばってるね,よくそんなに勉強できるよね。なんて声をかけると,「いやもう慣れてますから」なんて返ってきます。
「アイツは頭良いから」
と思うひとがいるのなら,そのひとのことを一度よく観察してみてください。
得手不得手や,飲み込みが早い人遅い人,コツコツ努力をするのが好きな人嫌いな人,個性は様々でみんな同じではないので,同じ時間で同じ成果をあげられるかどうかはわかりませんが,学力を高く保っているひとは必ずそうでないひとたちと違うことをしているはずです。
良いところがあればどんどん真似してください。
単純に学習時間が多いかもしれないし,授業中の集中力が違うかもしれない。本を読む量や意見をいう回数が違うかもしれない。とにかく何か他の人とはちがう努力をしているはずです。あるいは自然に無意識に努力できているかもしれません(習慣化できている可能性は高いです)。
何もせずに成績がいい人なんていません。
成績を良くしたいなら,行動する以外に方法はありませんよ。