子どものミッションについて,最終権限はあくまでも子どもにあることを確認したうえで,協力をしたいことと,助言,指導によるサポートをさせてほしいことをしっかりと了承してもらうことで,合意形成ができ,ひいては子どものミッションではなく,家族共同のミッションとなります。
ひとつ注意ですが,このことはしっかりとした場を設けて話し合いをして欲しいと思います。
正式な場をもって,話し合いによる合意形成が大事です。
なんとなく伝わったかな?どうかな?ぐらいの合意形成では,十中八九うやむやの,モヤモヤのテキトウです。
察するに,お子さんにはほとんど伝わってません。
一度,あなたの学習状況について相談がある。家族で相談したい。
とはっきり伝えて下さい。
テレビ見ながらとか,漫画読みながらとかではなくて,話し合いの雰囲気をしっかりと出して,これは真剣な家族としての問題,課題と向き合うための相談なのだという雰囲気です。
対等の立場での相談ですから,身を引き締めて出席すべきです。
現状把握とお父さんとお母さんが心配している点や不安に感じている点について,まずはしっかりお子さんに伝えて下さい。言葉にして,自分たちの想いを伝えることが大事です。
曖昧にしてはいけません。
自分たちはこう考えている。
あなたはどう感じているのか。考えているのか。どうしたいのか。
どこかで想いがすれ違っている可能性は高いと思いますが,僕たちは普段子どもたちとこういう話を真剣に話し合うことはほとんどありませんから,お互いが,お互いの本当の気持ちを知らないままに,しかしあたかも知っているかのように感じていて,自身の中で相手の気持ちまで勝手に脚本化していることが往々にしてあります。
その齟齬をまずはなくします。
そのうえで,しっかりと合意形成してください。
特に,サポートするにあたってお父さんお母さんの役割分担は重要なので,過剰なサポートにならないようあらかじめ役割を決めましょう。お子さんが不要だと考えている役割は相談のうえ,必ず合意でもって決めて下さい。
このとき,お父さんお母さんとお子さんの意見がぶつかる場合がありますが,これについては後述します。
過剰なサポートは,つまるところ過干渉と同じで,子どもの自由も意志も,主体性も奪います。
繰り返しになりますが,このような過干渉は,裏から見れば「あなたはひとりではできない」「あなたがひとりでミッションを達成できることを信用できない」ことを伝えていることになりますから,子どもたちの自己肯定感を損ねる結果になるだろうと思っています。
各々がこの合意形成,約束に従って,それぞれの役割をしっかりと果たすことでうまいPDCAが廻ると思います。大人だからといって,子どもたちの自立と主体性を合意なく,一方的に奪うことは信頼を失います。子どもたちとの約束をしっかりと守りましょう。
「勉強しなさい」を徹底的に排除すること。
これが二つ目の提言です。
合意形成をし,役割分担したとしても,たぶんお父さんお母さんは「勉強しなさい」と言いたくなるでしょうけれど,とりあえず3ヶ月はこの言葉を封印してみましょう。
お子さんと約束をした以上,お互いに約束に反した場合は,その問題について向き合わなくてはなりませんから,それについては指摘して,是正を求めても構いません。
(逆にお子さんから指摘があれば,お父さんお母さんとても同様に是正をしなくてはいけません。)
指摘,指導にも注意があります。
たとえば約束の中には,どれぐらいの量と質をもって学習することを決めるようなこともあると思うので,それに反して実行に移されない場合は,指摘し,指導することもあるかもしれませんが,できればその都度話し合いをするのが理想的です。
決して一方的な糾弾や嫌味のようなことは言ってはいけません。
淡々と約束に反していることを指摘し,是正を求めるのがよいと思います。その結果を背負うのはあくまでもお子さんですから,責める必要はありません,正しい行動をとるよう促すのみです。
必要なら新たに契約を更新してください。
さて,このように話を行う時,お父さんお母さんとお子さんとの意見がぶつかることがあります。
このとき,どちらか一方がWinになるような結論の導き方はしてはいけません。Win-Winを目指した話し合いがとても重要です。
たぶんここが一番のポイントで,どっちかの意見を採用することはたぶんないと思います。双方が納得する第3の案を目指しましょう。
やり方は簡単です。
関係者全員によるブレストです。
思い付く限りの方法をたくさん出して,その中で,誰もLoseにならないような方法を選ぶということです。
それ無理じゃね?
と思うかもしれませんが,騙されたと思って試しにブレストしてみてください。
案外,双方の主張が食い違ったり,ぶつかったりするポイントには,両者の理解の齟齬が絡んでいることが多く,大枠ではぶつかるけれど,詳細に詰めていくとぶつからなくなるポイントが見つかったり,あるいは双方の主張のコアな部分は実は元からぶつかっていなかったりすることはとても良くあります。
根気よく,じっくりと話し合ってください。
必ず抜け道があるはずです。
いえ,必ず両者が納得できる案があると信じて話し合いをするのです。
決して強権を発動してはいけません。
これすると元の木阿弥。
ふりだしに戻ります。
結局,大人って最後は無理矢理だよねー。
ってなります。
コツは
最初にお子さんの主張をしっかりと理解すること。こちらの主観で決めつけず,彼らのクチから言語化されて出てきたものだけを理解するよう努めて下さい。予想,邪推,想像,全部ダメです。
わからないところは,それはどういうこと?と聞き返せばよいのです。
抽象的なものは,しっかりと分解してあげてください。
そのうえで,お父さんお母さんの話をするのが良いです。
まず最初に相手のことを理解する。そして,そのあと自分たちの話を理解してもらう。このスタンスが大事です。
以上2つ目の提言です。
「勉強しなさい」を徹底的に封印できるかどうか。
ここにかかっていると考えてください。
これすなわち信頼です。
約束をお互いにしっかり守る信頼。
そして守れなかったときには,しっかりとその点について話し合う。決してうやむやにしない規律。
ちなみに,約束にはある程度の遊びを設ける方がいいと思います。
できもしない約束は絶対にしないようにしましょう!
次回三つ目の提言。