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親と子のコーチング

親と子のコーチングを考える。#07子どもが自分で考えるようになるための 親子関係 のつくり方

コーチング学習塾ミライデザインラボ

子どもが自分で考えるようになるための親子関係のつくり方

親と子のコミュニケーションは,通常のコミュニケーションと異なり,どうしても「教育」という側面が見え隠れします。したがって,親子関係を考えようとすると,どうしてもそこにぼんやりと「教える者」と「教わる者」というイメージが浮かんでしまうものです。

場合によっては,単なる「教える者」ではなく,一方的な支配であったり,管理であったりもするでしょう。教えているようで,親が想定した場所へ誘導することもあるでしょう。あるいは,強制的に着地場所を決めることだってあります。

親と子のコミュニケーションを考えるとき,子どもたちの言動の自由がどの程度保証されているのかは実に重要なファクターです。子どもたちに自由なんてあるのかしら?と感じるかもしれません。しかし,家族というコミュニティにおいて,大人にだけ自由が保証されているとすれば,それはやはり人として対等であると言えません。

役割や能力は異なれど,人としての価値が対等である,という点について我々はもう一度しっかりと考える必要があるのかもしれません。

ここでひとつ,普段のコミュニケーションの取り方を考えてみましょう。
たとえばあなたのお子さんが次のような話を持ちかけてきたときの,あなたの通常の受け答えを考えてみて下さい(試しに紙に書いてみるとよいでしょう)。

まずは,直感で!
いつもこんな感じというぐらいに勢いで答えてみてください。

A)夜寝る前に
「お母さん,明日,学校でぞうきんが2枚と12色絵の具がいるんだけど,ぞうきんと絵の具ってうちにある?」
と,持ちかけられたとき。

B)お友だちとケンカをしたようで,怒っているようです。
「けんたは,いつも自分勝手で腹が立つよ!
今日だって,ゲームをしようって言うからゲームを持って遊びに行ったのに,
急に外に遊びに行こうって言い出して,ゲームはやれなかったんだよ。
僕はゲームをやるのをすごく楽しみにしてたのに!」
と,持ちかけられたとき。

C)天気予報で降水確率90%と予報していたのを目にしたので,
「今日は雨が降るそうだから,傘を持っていったら?」と声をかけたあなたに
「今は降ってないからいいよ。」と結局傘を持っていかなかったお子さん。
しかしやっぱり雨が降って,ずぶ濡れで帰宅したお子さんに対する言葉

次にもう少し冷静に考えて,あなたがもっと模範的だと思う受け答えを考えてみてください。

いかがでしょうか。
どのような受け答えでも,間違っているとか,決して言ってはならない言葉だとか,そんなに重たく考えなくても大丈夫です。そのような苦言をするつもりもありません。言動のひとつひとつが最適であるかどうかを,常に考えながら発することはとても難いことですし,失敗したり,反省したり,改善したりして少しずつ言動を変化させていくことは可能です。そして,おそらく誰もがそうしています(僕もそうしてます)。

それでは,以下は米臨床心理学者のトマス・ゴードン博士が著書「親業(Parent Effectiveness Training)」の中で,親の受け答えについてまとめたものです(お決まりの12の型)。ご自身の考えた答えがいずれかにあてはまっているか注意しながら読んでみて下さい。

  • 命令・指示(自分で準備しなさい。)
  • 注意・脅迫(言うこと聞かないのなら,もう買ってあげないよ)
  • 訓戒・説教(こんなことにならないように,前もって準備をしておきなさい)
  • 忠告・解決策などの提案(ほかの子と友だちになりなさい)
  • 講義,論理の展開(大学にいくのと,いかないのではどう違うか,考えてみようか)
  • 批判・非難(おまえの考え方は間違っているよ)
  • 賞賛・同意(おまえはやれる力があるよ)
  • 悪口をいう,ばかにする,辱める(赤ちゃんみたいに甘えてるね)
  • 分析,診断(おまえは,彼にやきもちをやいているだけだろう)
  • 激励・同情(そんなに心配しなくてもうまくいくよ)
  • 質問・尋問(どうしてあなたは算数が嫌いだと思うのかな)
  • 中止・注意をほかへそらす(そんなこともう忘れてしまいなさい)

ほとんどのお父さんお母さんがこれらの受け答えについて心当たりがあるのではないでしょうか。そしてそのうえで,あんなこと言うんじゃなかったとか,また叱ってしまったとか,他に言い方あったんじゃないだろうか,とある種の罪悪感や申し訳なさのようなものを感じてしまっているのではないでしょうか。

もちろん,これらはすべて,あらゆる場面で用いてはいけない受け答えということではありません(90%以上のお父さんお母さんがこの12のパターンを日常的に使っているのだそうです)。人間と人間の会話ですから,ときに攻撃的であったり,感傷的であったり,その時々の気持ちに左右されることもあるでしょうし,模範解答をしたからといって即座にお子さんが狙ったとおりの行動をしてくれるとは限りません。

もっと言えば,「狙ったとおり」という言わば意図性は,誘導的でもあり,子どもたちはそれを巧みに読み取ることで,結果として親の浅はかなコントロールをかわしてしまうのが常です。いいえ,そもそも狙ったとおりに子どもが動けば良いと思っているのであれば,それは「お子さんが自分で考えるようになる」ことを望んでいるのとは少し違いますから,このコラムで伝えたい内容と真っ向からぶつかる話になってしまいます。

子どもが自分で考えるような関わりとは

さて,それではこれらの対応以外の方法でお子さんが自分で考えるようになる親子関係をつくっていく方法とはなんでしょうか。

親と子のコーチングでは,このコラムで繰り返し伝えている「聴く」というスキルを応用して,さらにステップアップした傾聴を用います。

まず一つ目として「沈黙」を上手に使うことです。

沈黙は,時に言葉で伝えるよりもずっとストレートに想いを伝えることがあります。あなたの話をしっかり聴いていますというメッセージとともに,あなたの言葉を待っているのだということを伝えます。大事なのは,子どもたちの考えがまとまるまでしっかりと沈黙を保ってあげることです。

先んじて,言葉をフォローするのは難しくないかもしれません。しかし,それが彼らの思考の妨げになることは往々にしてあります。人間は思考中に新たに質問を投げかけられれば,そちらに注意が向いてしまいますし,まとまりかけてた考えをあっという間に忘れてしまうことだってあります。

したがって,彼らが何かを考えているとき,じっと一点を見つめて物思いにふけっているときは,いつまでだって待つよ,というスタンスを崩すことなく,気を抜くことなく,しっかりと沈黙してあげることが大事です。

そして,二つ目として「受動的に聴く」ことです。コーチングの傾聴は「アクティブリスニング」とも言いますが,アクティブと言いつつ,受動的とはなんだろうかと思ってしまいますね。

一つ目の沈黙と同様に,主体をお子さんにもってもらうという意味で受動的と言いますが,しかし,傾聴の内容は変わりません。積極的に受け身を保ちます。

考えてみるとこれは至極当たり前というか,お子さんが持つ問題であれば,お子さんが主体となるのは自然です。お子さんが主体であるならば,考えるのはお子さんである事が必然で,そうでなくては真の解決は訪れません。

しかし,僕らは多くの場合,お子さんに代わって考えてしまったり,我々が知っている(と思う)答えを提示,提案したり,説得しようと試みたりします。彼らが考える前にです。このとき,これらのメッセージの中には暗に「あなたには解決できない」「あなたは知らない」などのメッセージが含まれてしまいます。つまり,お子さんひとりでは考えても解決できないと,我々自身が無意識に思ってしまっていることを示唆しています。

たとえばその道の達人があなたに相談してきた場合,おそらくお子さんに対して行うような受け答え,たとえば安易な解決方法を提示することはしないでしょう。自分が試されていると感じるか,簡単に答えてしまうと叱られるかも,といった気持ちになるかも知れません。達人に対して,何かを指示したり示したりするのはおこがましいと感じることもあるでしょう。

お子さんに自分で考えてもらいたいと思うのであれば,僕たちはまず彼らの声に真剣に耳を傾ける必要があります。お子さんの問題は,お子さんしか本当の解決に導くことはできません。だからこそ,僕たちはただ彼らの話を聴いて,彼らが彼らの手で問題に真剣に向かい合うことを見守るのです。

したがって,ここで重要なのは子どもたちが自分で考えることを支えるための「勇気づけ」ということになります。しっかりと時間をとって話を聴くことが勇気づけのひとつとなります。つまり,お父さんやお母さんはあなたが自分で考えることを見守っているということを絶えず伝え続けることが必要なのです。

ドア・オープナー

もう少し具体的に考えましょう。
お子さんたちの話題に対して適切な言葉は,受動的な聴き方をどのように発揮すればよいかを考えることで見つかります。扉を開かせる言葉「ドア・オープナー」です。ドア・オープナーとは,セールスマンが最初にかける言葉,あるいはマーケティング的には本命商品への第一歩を踏み出してもらう無料商品やうたい文句のことです。

お子さんに対して用いるなら,これはすなわち「自分で考えるための扉を開く言葉です。」考えるということは,言語化するということでもあります。要するに,もっとたくさんお子さんに話をさせてあげればよいのです。話をしている内に,頭の中が整理されて,やがて思いも寄らなかった感情や現状,解決策,今あるリソースやそれらへのアクセス方法など,知らず知らずのうちに考えが生まれる可能性が高まります。

そのためには,我々はまず,自分の考え,判断,想い,を子どもたちには伝えず,逆に子どもたちが考えや判断や感情を伝えてくれるように促すことです。

そして,これらを達成するためのもっとも簡単な手法は,「とりたててハッキリと何かを伝えない」という方法です。

僕がよく使うのはこんな反応です。

「へぇ」「あぁそうなんだ」「えーなるほど」「それで?」「もう少し教えてくれない?」「うんうん」「しっかり視線を送ったまま無言でうなづく」「それ面白そうだね」「そんなことあったんだ」「首をかしげる」「驚いた仕草」「それで君はどう思うの?」「それについて話してみて」「教えてほしいな」「君の考えはどう?」「君にとっては重要な話なんだね」

といった具合に,何かを伝えるのではなく,話をすることを促すのです。
そして私はあなたの話を聴く準備ができているよ,ということを暗に伝えるのです。そうすることで子どもたちは次の言葉を考え出します。主体が自分にあることを認識するようになります。たとえば話にのってきて,話に深みが出たり,大人が思う解決策が目の前に降りたときでも,矢継ぎ早に質問をしてはいけません。そちらに誘導してはいけません。受動的な聴き方に徹して下さい。

カウンセリング技法の究極は「聴くだけ」でクライエントが勝手に問題を解決することなのだそうですが,それに近いイメージが良いでしょう。もしかしたら解決など必要としていないかもしれません。話をするだけですっきりすることは大人にもありますから,今のモヤモヤした気持ちをあなたに吐き出すだけで,根本的な問題の解決はまだ先でも構わないのかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回ご紹介した受動的な聴き方。簡単ではありませんし,これが最強の方法ということでもありません。数多ある親子関係を向上させるひとつの方法として考えてもらえるとうれしいです。

そして,なにより自分で考えるようになることを望むのであれば,自分で考えた結果を尊重してあげてください。自分で考えて欲しいと言いつつ,結局親の指示どおり,あるいは親の希望するとおりに育って欲しいというのであればそれは本末転倒です。お子さんが自ら出した答えを尊重できなければ,やがてお子さんは自分で考えることをやめるか,あるいは他の行動を起こすでしょう。

親と子のコーチングを考えるということは,子どもたちに自分の未来を自分で描くことを知ってもらいたいという切なる願いだと僕は思っています。もちろん子どもたちには失敗して欲しくないし,誤った道へ進んで欲しくないとも思います。しかし,失敗や誤った道が果たして,僕たちの主観から生まれた,勝手な思い込みでないという保証はありません。

時に,一歩離れて,子どもの成長を見守ることができればいいなぁと改めて自分に言い聞かせています。

それでは「親と子のコーチングを考える。」また次回お楽しみに。

親と子のコーチングセミナー

子どもたちは満面の笑顔で”自分の好き”や”最近の興味関心”を延々と話します。
あんまり友だちと関係がうまくいっていないこと,わたしの言い分,友だちの都合もわからなくもないことを愚痴混じりでこぼします。
あるいは勉強したくない理由や,でもやらなくてはいけない葛藤を吐露することもあります。

そんな彼らの日々の奮闘ぶりを聴いていると時折思うことがあります。
彼らは彼らで,日々起こる出来事に対して何らか反応をしています。感じたり,思ったり,考えたりしています。

それはもしかしたら僕たち大人から見れば,単純で,思慮が浅くて,見通しが悪くて,感覚的で,非論理的で,非合理な内容かもしれません。

一方で,そのひとつひとつは彼らの中から生まれたものに違いはなく,したがって彼らにとってそれらはものすごく大事なものです。だから,彼らは彼ら以外の者の価値観でその大事なものたちを否定されることを望んでいません。

大人はとかく,自身の経験と価値観が「子どもたちのそれ」よりも秀でていて誤りがなく,少なくとも自分の考えが正しいと考えがちですが,まずは子どもたちの考えを受け止めてあげられるように訓練をしてみませんか?

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