親と子の コーチング を考える第2回目です。
第2回目だけど,もう核心です。
親と子の間でコーチングを用いるためには,とりあえずこれだけやっておけばOKということを書きます。
先に述べた話を踏まえれば,これはコーチングのエッセンスを親子関係に落とし込む方法なので,厳密にコーチングかと問われると「コーチングの技術や考え方のうちの一部」ということになります。
しかし,けれども,コーチングにおいても重要な部分ではありますので,これをコーチングと呼ぶかどうかはさておいて,お子さんたちの主体性やジリツ性の醸成に寄与するであろうことは間違いありません。
また,親と子のコーチングのコアは,とにもかくにもそのマインドセットが最重要ということになりますが,これは一両日に身に付くものではないので(とりわけ親子のようにすでに関係性ができあがっている状態では,新たな関係構築は容易ではありません),コツコツと練習に励むしかありません。
ただ,それ言っちゃうと話は終わっちゃうので,ここでは,この大事な件に目をつぶってしまって,技術的というか,すぐにでも試してみることができそうなことを書いていこうと思います。
なので,まぁそのあたりを含めて,ひとつの習慣付けをみなさんにお願いしようと思います。
コーチングマインドをもって話を聴くということ。
親と子のコーチングにご興味をもっていただいているという親御さんは,おそらくもうすでにどこかで耳にしたことがあると思いますが,ひとの内面にアプローチする臨床心理の分野でとても大事に扱われる「傾聴」という言葉があります。
コーチングにおいても「傾聴」は最も重要なスキルと言ってよいと思います。
アクティブリスニングなんて言い方もします。
聴くということの重要性は,他の記事にもたくさん書きましたし,ラボのスタッフにもたくさんお話をしています。また,お父さんお母さんたちにとっても多くの書籍や専門家のひとたちの話に頻出し,その重要度合いはご理解いただいていると思います。
けれどもあえて,重ねて申し上げるなら,僕を含めて親と呼ばれるひとたちは,まだまだ子どもたちの話をしっかりと聴けていないと思います。
したがって,
親と子のコーチングの最初の一歩。
最初の一歩にして,ほとんどと言ってもよいかもしれません。
まずはこれを実行してみてください。
親と子のコーチング/MDL式コーチング
1日10分で結構です。 お子さんの話をただひたすらに聴く時間をつくってください。 話をしている時間は,お子さん8:お父さんお母さん2ぐらいの比率を目指しましょう。 話の内容について評価あるいは善悪のジャッジをしてはいけません。 アドバイスや間違いを正す必要もこの時間帯に限って不要です。 |
傾聴における技術(臨床技術の基本的な傾聴技法)は,米心理学者アイヴィ博士のマイクロカウンセリング技法
参考URL:日本マイクロカウンセリング学会 > マイクロカウンセリングとは (microcounseling.com)
によれば,「はげまし,言いかえ,要約」などがあります。また,カールロジャーズの来談者中心療法ではカウンセラは3つの原則,すなわち無条件の肯定的関心、共感的理解、自己一致をもってクライエントにのぞむとされています。
参考URL:来談者中心療法 – Wikipedia
しかし,これらの理屈をどれだけ読み込んでも,親が子の言葉に耳を傾けることの本質はなかなか見えてこないかもしれません。それこそが前述した,技術論<マインドセットであることの証左なのですが,しかしここではいったん技術論はさておいてとにかく最初のステップをまずは1日だけでもいいので試してみましょう。
でも試すのはいいけれど,話が続かないとか,きっと何も話してくれないよーとか思いました?
わかりました。
そんな不安になってしまったお父さんお母さんたちのために最低限の約束を書きます。
けれどもこれらはもともとあたりまえにできていて欲しい要素です。意識しないとできていないとすれば,これまでの聴き方はゼロ点ぐらいの本当に最低限の技術というか,心構えです。
- 話を聴く時間は,テレビや音楽,仕事,本,家事など,他の一切合切を止めます。
- お子さんの顔をしっかりとみて(視線をぶつけると緊張感が出るので少しずらして喉元や襟あたりでもOKです)話を聴きましょう。
- 腕を組んだり,足を組んだりしません。
- 口角を上げ,少なくとも詰まんなそうな顔や苦痛そうな顔はしません。笑顔を真剣な顔で!
- お子さんの言葉をしっかりと理解するつもりで聴きます。
よく言う「あいづち」,「うなずき」,「オウム返し」,みたいなことは意識しなくても大丈夫です。
大事なのは真剣に話を聴く時間をあえて設け,本当に真剣に耳を傾けることです。
興味をもって聴くことです。
あとはお子さんの話をしっかりと理解できるように短い質問をひとつずつしてあげてください。
単なるオウム返しで構いません。双方の確認の意味でも有用です。
だまされたと思って何回か試してみましょう。
さああとは試してみるだけです。
こんなことで何かがかわるのか。
変わるかもしれないし,変わらないかもしれません。
でも試す価値はあります。
タダでできますし。誰にも迷惑かけないし。お子さんには間違いなく喜ばれますし(ただし反抗期真っただ中のお子さんだと最初は苦労しそうですが…。これはもう時間かけるしかないですね)。
ベタだなーと思うかもしれません。
そんなの毎日やってるよーと思うかもしれません。
けれども,だまされたと思って,まずは一度しっかりと時間をとってお話してください。
きっと何か得られます。
(ただし約束はぜったい守ってくださいね!)
その一回目のセッションで失敗すると,特にアドバイスしたり叱ったり,内容を正したりすると二回目はないかもしれません。ただただひたすらに聴いてあげてください。
それでは,今回はこのあたりでおわりとしまして,チャレンジを終えた頃を見計らって,第三回はもう少し理屈っぽい技術論を書きたいと思います。