先日,ある学習塾の先生とお話をする機会があって,その塾はもちろんいわゆる普通に授業をおこなっている学習塾たる学習塾で,英語や数学を中学生たちに教えているところなのですが,やっぱり成績があがるか上がらないかの差は何かというと
「本人の本気度」に尽きるよね。という話でした。
これはもちろんラボでも同じ事が言えて,だからこそ僕は勉強を教えるのか教えないのか,あるいは成績にどこまで直結するのかに悩むぐらいなら,いっそ勉強を教えるのではなくって,いかにして本気度をあげていくのか?に注力することを選んだのです。
言い換えると,塾に通っていても本気で取り組もうという意志がなければ成績は上がらないし,塾になんて通わなくっても本気で取り組めば成績はあがります。
もちろん本気度が低くても塾に通えば,ほとんど無理矢理に学習時間を設けられる分だけ,成績がキープできるか,上がるかという結果にはなる,という意味では塾に通っている方が結果は良くなるのかもしれません。
とどのつまり
本気度ってじゃぁどうやってあげるのか?
ということになってしまうのですが,僕は今のところ対話を続けることが第1選択だと思っています。
学習に対する本気度が低いのは,その先にある目標の認識が不足しているか,適切な努力では目的を達成できないと考えているかのいずれかである可能性が高いです。
なので,しっかりと目標を認識してもらって,その目標と今の自分とのギャップを知ること,これがコーチングの一番最初のポイントです。
これをしっかり理解して,ではどうしたらそのギャップを埋めることができるのか?という話に移行していければ本気度はぐっと上がるでしょう。
問題なのは後者の場合です。
適切な努力では目的を達成できないと感じている場合,子どもたちは学習をあきらめて別の方法で目的を達成しようと考えます。適切な努力を続けて目的を達成するという健全な方法をがんばってみる勇気が不足している,と考えればいいと思います。
多くの場合,小中学生の子どもたちからすると,その目的はいずれにしてもお父さんやお母さんに認めてもらいたいという承認欲求です。
これがもっと利己的なものになって,自身の将来のためとか,自分が成し遂げたい何かのためとなって,なおかつそれが家族などの自分が属するコミュニティへの貢献につながることが最終到達地点ではありますが,それは先の話です。
お父さんやお母さんに認めてもらうため(もっというと褒めてもらうため)に地味で普通の努力を続ける元気がないんですね。勇気が不足すると,がんばっても成績があがらないかもしれない,いや上がらなかった。もうこれ以上は無理。やりたくない。でもお父さんやお母さんには認めてもらいたい。あれ,それならもっと簡単な方法があるぞ…とこんなふうに無意識に不適切な方法での承認を求めるようになる,というふうにアドラー心理学では考えます。
なのでラボのコーチングでは,不足する勇気を与えるための関わりをする。これが二つ目のポイントになります。
これら二つのポイントをまずは地道にすすめていく。そのうえで必要に応じて学習を効果的にすすめるような提案もします。効率のいい学習方法の相談を受ければいっしょに考えて,合意がとれればその方法をやってみます。合意がとれなければ,コーチの提案は破棄されて,自分で考えた方法を試してみるか,何かで調べた方法にトライしてみるとか,様々です。
本気度合いをあげるのに強制性はもっとも排除されなくてはならないものですから,本人がNOであれば,最終的にはコーチはそれを受け止めます。
ただ,これだと時間がかかる。
この点だけは否めません。
場合によっては時間切れになるかもしれない。
それでもこっちの道を選ぶと,主体性を持って取り組んでくれることを信じてひたすらに待ち続けるしかありません。こっちを選んでおきながら,時間切れになるからといって方針を変えてしまうと,本末転倒というか,目的がすりかわってしまって,残念な結果になってしまうからです。
だからラボにいる間は,とにかく自分で考えて,自分で決断して,自分で行動してみることをいちばんの行動指針としています。
それともうひとつ成績をあげるための大きな要因があるのですが,こっちの条件をクリアしていれば,コーチングの効果は絶大です。
もうひとつの条件の話はまた今度。