塾に通い始めて何か月も経つのに、成績があまり変わらない。
こうなると保護者としては、「この塾でいいのかな」「もっと勉強させたほうがいいのかな」と心配になりますよね。
ただ、塾に通っているのに成績が上がらないからといって、すぐに「本人が勉強していない」「塾が悪い」と決めるのは少し早いかもしれません。
実際に現場で中学生を見ていると、原因はいくつかあります。
ここでは、塾に通っているのに成績が上がらないときに、僕なら何を確認するかを順番に整理してみます。
塾に通っていても成績が上がらないことはある
塾へ行けば、自動的に成績が上がるわけではありません。
これはちょっと身もふたもない話なんですが、塾は「通うこと」そのものが学力になる場所ではないからです。
ひとつ覚えておいてほしいのは、「定期テストの点数」「成績」「学力」は、同じ意味ではないということです。
そのうえで、塾が学力を上げるためには、いくつか条件があります。
たとえば、その子に必要な内容を扱えているか。
授業でわかったことを、自分でもう一度使える状態になっているか。
学校のテストで求められることと、普段の勉強が合っているか。
ほかにもいろいろありますが、こういう条件がそろって、ようやく結果につながります。
逆に言えば、塾へ週2回通っていても、この部分がかみ合っていなければ、思ったほど成績が変わらないことはあります。
今やっている内容が、その子に必要な内容とは限らない
学校では中2の連立方程式をやっている。
だから塾でも連立方程式を教える。
普通に考えれば自然です。
でも、その子が一次方程式の移項や正負の計算で頻繁に間違えているなら、本当に必要なのは連立方程式の解き方だけでしょうか。
英語でも同じです。
学校で現在完了を習っているから現在完了を勉強する。
ところが、一般動詞の疑問文や過去形がまだあいまい。
この状態だと、現在完了だけを何度説明しても、なかなか使えるようにはなりません。
今の単元がわからないとき、その原因が今の単元にあるとは限らないんです。
定期テスト対策だけで判断しない
塾の成果を見るとき、どうしても定期テストの点数が中心になります。
もちろん大事です。
ただ、定期テストは出題範囲が決まっています。
学校の授業、教科書、ワークで何度も見た問題が出ることも多いので、短期間しっかり対策すれば点数が上がることがあります。
これは悪いことではありません。
でも、そこで取れた点数だけを見て「理解できた」と考えるのは危険です。
点数は、良くも悪くも「揺れ」を含んでいるからです。
本当はわかっているのに下振れすることもありますし、十分に理解できていなくても、問題との相性や準備のしかたによって上振れしてしまうこともあります。
しかも、この「揺れ」はいろいろな原因で起こります。
その中には、本人の努力だけではどうにもならないものもあります。
だから、揺れをゼロにすることはできません。
大事なのは、揺れる要因をできるだけ減らしながら、テストの結果から「実際にはどのくらい使える力があるのか」を見ていくことです。
数週間後に同じ考え方を使えるか。
初めて見る問題でも判断できるか。
英語なら、日本語から自分で英文を作れるか。
こういうところまで見ないと、本当に身についているかはわからないんですね。
定期テストと実力テストはどっちが大事?では、この二つのテストの役割の違いをもう少し詳しく整理しています。
授業ではわかるのに、一人になるとできない
これもかなりあります。
先生が横にいて、
「ここはどれが主節の動詞になる?」
「主語はどれ?」
「前の式を見てみよう」
と聞かれると解ける。
でも、自宅で同じ問題をやると間違える。
この場合、授業が無意味だったわけではありません。
その場では理解できています。
ただ、「ヒントがある状態でできる」と「自分で最初から判断できる」は別モノです。
多くの場合、先生といっしょなら正答までたどり着けます。
でも、そこで「私はできる」と考えてしまうと少しズレます。
塾の時間だけでなく、そのあとに「一人で問題を解く時間」が必要になります。
宿題の量より、何を間違えたかを見る
成績が上がらないと、「宿題をもっと増やそう」という話になりやすいです。
でも僕は、量を増やす前に間違え方を見ます。
宿題の量が必要なのか、やる内容の見直しが必要なのか、そこがわからないからです。
たとえば数学で10問間違えたとしても、
- 計算ミスが多い
- 問題文の条件を読み違えている
- 公式を覚えていない
- 解き方そのものがわからない
では、対策が全部違います。
英語でも、
- 単語を知らない
- 動詞の形を間違える
- 語順がわからない
- 日本語の意味を取り違える
では、やることが違います。
「間違えたから20問追加」ではなく、間違えた理由を分けるだけで勉強の効率はかなり変わります。
塾を変える前に確認したい5つのこと
1. 今の学力より難しすぎる内容をやっていないか
学校の進度に合わせることが、その子に合っているとは限りません。
必要なら前の単元へ戻れるかを確認します。
2. 授業後、一人で同じことができるか
その日の授業で理解した問題を、翌日もう一度自分だけで解いてみます。
ここでできなければ、もう一度練習が必要です。
3. 間違いの原因を分けているか
「ケアレスミス」で全部まとめないこと。
どこで判断を誤ったのかを具体的に見ます。
4. 定期テスト以外でも確認しているか
実力テスト、模試、少し時間を置いた復習問題なども参考になります。
実力テストは何点取ればいい?では、点数だけではなく、平均点との差や誤答内容まで含めた見方をまとめています。
5. 本人が何に困っているかを話せるか
意外とここが大事です。
「数学が苦手」ではなく、
「文章題になると何を式にすればいいかわからない」
くらいまで言葉にできると、対策しやすくなります。
塾や先生によって、わからないことや間違えることの受け止め方は少しずつ違います。
僕は、「わからない」や「間違えた」は、教えるためのかなり大きな手がかりだと考えています。
だから、どんどん間違えてほしいと思っています。
一方で、「正解しているところ」から理解度を見ようとする先生もいるかもしれません。
どちらが絶対に正しいという話ではありませんが、少なくとも「わからない」「間違えた」と言いにくい環境では、生徒が本当に困っているところを見つけにくくなることはあります。
塾を変えたほうがいいケースもある
もちろん、塾を変えることが悪いわけではありません。
本人が質問できない。
授業のレベルがまったく合っていない。
必要な復習ができない。
通うこと自体が強い負担になっている。
こういう場合は、別の環境を考えてもいいと思います。
ただ、「3か月で点数が上がらなかったから別の塾」というだけだと、新しい塾でも同じことが起きる可能性があります。
まず、なぜ上がっていないのかを確認する。
そのうえで、今の塾で修正できるのか、別の環境のほうが合うのかを考えるほうがいいでしょう。
まとめ
塾に通っているのに成績が上がらないとき、確認したいのは次のようなことです。
- 今の単元より前に理解不足がないか
- 授業でできた問題を一人でも解けるか
- 間違いの理由を分けているか
- 定期テスト以外の力も見ているか
- 本人が何に困っているかを具体的に把握できているか
塾は、通っているだけで成績を上げてくれる場所ではありません。
一方で、何ができていないのかを見つけ、その子に必要な内容へ戻れる場所であれば、かなり役に立ちます。
まずは「成績が上がらない」という結果だけでなく、その途中で何が起きているのかを見てみてください。
ほかの学習記事は、中学生の勉強・成績ガイドからまとめて読めます。