書くことが苦手な子どもたち
「書く」ことが苦手な子どもたちが増えている印象があります。
苦手というより,書きたがらないのです。
書くことに慣れていない。
とにかく書くことを嫌がります。
めんどくさい。
書きたくない。
しかし,計算結果は書きます。漢字練習帳は端から端まで漢字で埋めます。
必要最小限(それはテストだったり,宿題だったりでしょうか)を書くことはしますが,たとえば計算過程を書いておくことや,ノートの取り方やまとめ方,講義動画や教科書を見ながら,読みながらそれをノートにメモしていくこと,こういう大事なことを嫌がります。
やったほうが効率的なのだという説明をいくらしてもやらないと思います。
問題集を例えば解くとして,問題の番号やページ数など付加情報も書きません。
ひたすら解答だけを細かく書いていきます。
嫌だからです。
その「嫌」がどこから来ているのかまでは考えないので,なかなか先に進まないのですが,これは理屈を説明して納得してもらうよりも先に習慣づけてしまう方が実は簡単です。
もしかしたら
嫌だと感じるのは,実は単にやり方を知らないためかもしれません。
習慣づけるにしてもやり方を知らなくてはできませんね。
ノートの取り方を知らない。
感想文の書き方を知らない。
日記の書き方を知らない。
書かせたいからIT教材は使いません。
ラボの小学生学習コースだけは,いっさいのIT教材を使用しません。
読むこと
話すこと
書くこと
考えること
このアナログの作業ひとつひとつがこの先の学習に必要な基盤となります。
毎週,授業の終わりにはその日の授業のまとめをノートに書いてもらいます。
ノートの書き方は自由です。
最初は少し手ほどきします。
書き方をいくつか提案して,あとは好きなように好きなだけ書いてもらいます。
書くには,前提として考えたり,イメージしたり,誰かの言葉を聞いたり,読んだり,調べたり,いろんなことが必要です。ふと思い付いたことを書くことだって,案外難しいのです。
ノートのまとめを読んであげてください。
そして「へぇ今日はこういうことをやったんだね。頑張ってるなぁ。」とか「こういう考え方はお父さん好きだなぁ。」「○○ががんばってると,すごくうれしい。お母さんももっとがんばろっかなーって気持ちになるよ。」なんて感想を言ってあげてください。
「すごい」とか「よくできたね」なんて言わなくていいです。
まして,ダメ出しはしないでください。
一方的に褒めることも良くありません。すごいかすごくないかは,子どもたちは自分で決めます。一生懸命書いたこと,それ自体を認めてあげるだけでOKです。そこに評価が加わると,一生懸命に書いたことよりも評価に焦点があたります。
そうするとどうしたって,評価されたことがうれしいか,評価されなかったことが悲しい,となります。評価されることがうれしいとなれば,評価され続けなくてはいけなくなりますし,その評価は自分でコントロールができませんから,必ず評価されないことと向き合わなくてはなりません。評価されなかったことが悲しいとなれば,評価されるために努力できる子もいますが,そうでない子もたくさんいます。その結果,努力をやめてしまうこともあるかもしれません。いずれにしても(自分のための努力でなく)評価されるための努力をすることになってしまい,自分の価値はその結果次第でどうとでもなるものになってしまいます。
でもお子さんの価値はそんなことでは決まりませんよね。
努力していることに価値はありますが,その価値はお子さんが自覚するものです。
努力の結果はいつも満足がいくものとは限りませんし,そうでないことの方が多いくらいです。
その度に,価値が増減するなんてちょっと不思議です。
書かれたものがいかようなものであっても,何かしらの感想を言ってあげてください。
「たのしかった」6文字だけ書いてあって,そのあとに続く言葉が書けなかったとしても,「そうか楽しかったか,よかったね。」と言ってあげてください。
今日も元気にラボに行ってくれた。それだけで十分です。そのことに感謝です。
それで成績がもしもあがったらタナボタ!ぐらいのことです。
そして,たのしかったラボでの出来事について質問してあげてください。
詰問でも取り調べでもありませんよ!
お父さんお母さんが興味を持ったことを聞いてあげたらOKです。もしも興味がないとすれば,それは子どもの課題ではなく,お父さんやお母さんの課題です。
内容や分野によっては,お子さんの書いたものに興味が薄いことはきっとあるでしょう。忙しくてそれどころじゃないこともあるでしょう。もしかしたら,仕事で疲れてゆっくりしたいと思っているタイミングかもしれません。
しかしお子さんに興味がない…ということはないでしょう。ほんのわずかな時間で良いのです。5分だけ,手を止めて興味を持って聞いてあげてください。5分話したら満足します。
それが大事な復習につながります。
でもノートの全部を見て,解答の中身や正答率などについて言及してはいけません。それをやればまちがいなく評価につながります。そうすると大事な復習が「ダメ出し」になってしまいます。丁寧に間違いを指摘して,次に繋がるような説明だから大丈夫!と思っているお父さんお母さんがもしいたとしても,「丁寧に間違いを指定して,次に繋がるような説明」ができるんなら,正直,塾なんてなくても家で勉強みてあげたら話すみますが,現実はそうはなっていないのでお父さんお母さんがダメ出しせずに説明&理解させることは難しいということなのです(誤解のないように書きますがこれはお父さんお母さんが悪いということではなくて,親子に師弟の関係を重ねるのは難しいというだけです。適度な距離感を持って,そのときできないことをできないまま保留にすることはわりと必要なことなのですが,どうしても今わかってもらいたい!と思うとなかなかそれが難しいのです,学校の先生たちが自分の子どもにしっかり家でも勉強教えているかというと,実はそうでもないのと同じです)。
ノージャッジで最後まで感想と勇気付けができる自信がもしもあれば,ノートを見渡してあげてください。
念のためIT反対ではありません。
念のため,僕はIT導入反対ではまったくありません。
むしろドンドン導入しようと思っています。
現代社会が情報過多なのは誰の目にも明らかです。
情報過多を少しでも整理するためにITは必要不可欠です。
もちろん僕たち親世代も同じなのですが,子どもたちはもっともっとその波に適応していかなくてはならないのです。デジタルトランスフォーメーション(DX)は時代の流れに沿ったもので,これをいかに批判しても適応しなくてはいけない事実は変えられません。目をそらしてはいけないのです。
(その意味では,現代を活きていく子どもたちはたいへんだなぁと思うことはあります。このたくさんの情報量を記憶,処理していくには,覚え使いこなさなくてはいけないことが本当にたくさんあります。ゆとりのない毎日がいつか破綻しないかという不安はいつもつきまといます。)
書くことに慣れて欲しい
という想いはこれに反しているかというとそうではないと思っています。
厳密に言えば,「書く」というよりは「言語化」と「表現」する手法を自然に身につけて欲しいということでしょうか。
実際に鉛筆持って書く,ことにそれほどこだわりはありません。
鉛筆のかわりにタブレットにペンでそのまま書いても良いし,相応の速度でタイピングできれば良いと思っています。しかし,文章そのものを創り上げるのはヒトがやるしかありません。また,たとえばアイディアを創出する際,乱雑にざっとノートに思い付いたことをたくさん書き出すとか,図や絵,イメージをもってアイディアを具体化する際には鉛筆でノートに書く方が便利です。そうしていろんな落書きをしているうちに考えがまとまったり,構想が浮かんだりすることは良くあります。そういう意味で「書く」ことに慣れて欲しいのだと思っています。
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