単語帳で分かるのにテストで出てこない理由

単語を「知っている」と言っても、実際にはいくつかの段階があります。

たとえば borrow を見て「借りる」と言えることと、「私は図書館で本を借りました」を英語で書くときに borrowed を選べることは同じではありません。

必要になる情報が違うからです。

  • 英語を見て意味が分かる
  • 日本語から英語を思い出せる
  • 音を聞いて単語が分かる
  • 文の中で品詞や語形を判断できる
  • 自分で文を作るときに選べる

単語帳を眺める練習だけでは、最初の一つに偏りがちです。

そこで、覚えた単語を四つの入口から取り出します。

4方向想起とは

一つの単語について、次の四方向を練習します。

  1. 英語→意味:見て意味を答える
  2. 意味→英語:日本語や場面から英語を思い出す
  3. 音→英語・意味:聞いて単語と意味を取る
  4. 文→適切な形:文の中で使い方と語形を選ぶ

全部を一度に完璧にする必要はありません。

まず10語程度を選び、どの方向で止まるかを確認します。止まった方向が、次に増やす練習です。

第1方向 英語を見て、短い意味を答える

これは一般的な単語学習です。ただし、説明を長くしすぎないようにします。

borrow なら「借りる」。during なら「〜の間に」。

最初は教科書や学校の単語帳に載っている中心的な意味で答えます。

一語に複数の意味がある場合も、最初から辞書の意味を全部覚えようとしません。教科書本文やテスト範囲で使われている意味を先に固めます。

ここで大切なのは、答えを見る前に2〜3秒だけ思い出すことです。

すぐ答えを見ると、「見れば分かる」感覚は増えますが、記憶から取り出す練習がほとんど起きません。

第2方向 日本語や場面から英語を出す

英作文で単語が出ない人は、この方向が不足していることがあります。

カードの表を日本語、裏を英語にするだけでも構いません。ただし、日本語一語だけだと答えが複数考えられる場合があります。

そこで短い場面を添えます。

  • 図書館で本を「借りる」→ borrow
  • 友達に本を「貸す」→ lend
  • 夏休みの「間に」→ during
  • 二時間「ずっと」→ for

似た意味の語を区別するときは、単語を単独で覚えるより、小さな場面と組み合わせたほうが使い分けを確認できます。

書けなかった単語は、答えを三回写して終わりにしません。

一度正しいつづりを見たあと、隠して書く。30秒後にもう一度隠して書く。翌日また書く。

「見る回数」ではなく、「見ないで成功した回数」を記録します。

第3方向 音から意味とつづりを結ぶ

目で見れば分かるのに、リスニングでは聞き取れない場合、音と単語がつながっていないことがあります。

学校教科書の公式音声など、正しい音源を使って次の順番で行います。

  1. 単語を見ずに音だけ聞く
  2. 分かった意味を言う
  3. 英単語を言う、または書く
  4. 答えとつづりを確認する
  5. 音声に続いて自分でも発音する

発音の上手さを競う練習ではありません。聞こえた音と、知っている文字列をつなぐのが目的です。

単語単体で聞けるようになったら、教科書本文の音声で同じ語を探します。文の中では音がつながったり弱くなったりするため、単語音声だけで終わらせないことが大切です。

イヤホンで教科書の音声を聞きながら英単語を書き取っている中学生

第4方向 文の中で適切な形を選ぶ

単語を知っていても、文では形が変わります。

  • 三単現のs
  • 過去形・過去分詞
  • 複数形
  • 比較級・最上級
  • 名詞・動詞・形容詞・副詞の違い

たとえば use を覚えていても、文によって usesuseduseful などが必要になります。

練習するときは、単語だけでなく「空欄の前後」を見ます。

  • 主語は誰か
  • 時を表す語はあるか
  • 空欄には動詞、名詞、形容詞のどれが必要か
  • 直前に助動詞やtoはあるか

単語の意味だけで埋めず、文法上の役割を一つ確認します。

英作文で語順まで崩れる場合は、主語の次に何を置くかも合わせて整理してください。

一日20分の実践メニュー

1〜3分:今日の10語を選ぶ

新出単語だけでなく、前日に間違えた語も混ぜます。全部を毎日均等にやる必要はありません。

3〜7分:英語→意味

2〜3秒考えてから答えます。すぐ分かった語と、迷った語を分けます。

7〜11分:意味・場面→英語

英語を隠し、発音してから書きます。つづりを間違えたら、誤った文字の位置だけを確認します。

11〜15分:音→意味・英語

公式音声を使います。聞こえなかった語は、音節やアクセントを確認してもう一度聞きます。

15〜20分:一語一文

10語全部で長い英文を作る必要はありません。その日の要注意語を3語選び、短い文か穴埋め問題にします。

例文は難しくしないでください。単語の使い方を確認するための文なので、ほかの文法まで難しくすると、どこで止まったか分からなくなります。

机に並べた単語カードを一枚ずつ裏返して確かめている中学生

復習日は「1日後・3日後・7日後」を目安にする

一晩に100語を何度も見るより、少量を間隔を空けて取り出すほうが、忘れた場所を発見できます。

目安として、覚えた当日、翌日、3日後、7日後に短くテストします。

ただし、全員に同じ間隔が最適とは限りません。翌日にほぼ全部忘れるなら語数を減らし、成功する間隔を短くします。楽に全部答えられるなら、次の復習まで少し空けます。

覚えたかどうかは、ページを見た回数ではなく、時間を空けて取り出せたかで判断します。

記憶から答えを取り出す練習は「検索練習」「想起練習」と呼ばれ、読み直しだけより長期保持に役立つことが多くの研究で示されています。外国語語彙でも、間隔を空けた想起と成功した取り出しの重要性が研究されています。

長文で止まる人は「単語帳の意味」を文へ戻す

長文では、一語ずつ日本語へ置き換えるだけでは意味がつながらないことがあります。

知らない単語に印をつけるだけでなく、知っていたのに文中で意味を取れなかった単語にも別の印をつけてください。

後者は、単語帳へ戻して日本語訳を増やすより、その文での働きを確認します。

  • どの語を説明しているか
  • 誰の動作か
  • 前置詞とどのまとまりを作るか
  • 代名詞が何を指すか

長い一文の骨組みが取れない場合は、英語長文で主語と動詞を見つける方法を先に使うと整理しやすくなります。

間違いカードは増やし続けない

間違えた単語を全部カードにすると、復習量が増え続けます。

カードから外す基準を決めてください。

  • 別の日に英語→意味が2回できた
  • 意味→英語が2回できた
  • 音から分かった
  • 短い文で正しい形を使えた

四つ全部が必要な重要語もあれば、まず読めればよい語もあります。教科書・学校の範囲・志望校の問題を見て優先順位を変えます。

よくある失敗

一日に覚える語数だけを増やす

新しい語を増やしても、前の語を取り出せなければ定着は確認できません。新出と復習を分けます。

日本語訳を一字一句固定する

中心的な意味は必要ですが、文脈によって自然な日本語は変わります。文の中で誰が何をしたかを優先します。

書く練習だけで音を無視する

定期テストや入試にはリスニングがあります。目と手だけでなく、音からも取り出します。

単語だけで英作文対策を終える

英作文では、語彙、文法、語順を同時に使います。単語が出るようになったら、短い一文で使います。

同じ教科の記事は安城市の中学生向け英語学習ガイドにもまとめています。

まとめ

英単語帳で答えられるのにテストで使えないなら、暗記量より先に取り出す方向を増やしてください。

  1. 英語を見て意味を答える
  2. 日本語や場面から英語を出す
  3. 音から意味とつづりを結ぶ
  4. 文の中で正しい形を選ぶ
  5. 翌日・3日後・7日後に短く再テストする

英単語は、眺めた回数ではなく、必要な場面で取り出せて初めて答案に使えます。

中学英語をどの単元から戻すか決められない場合は、中学生の英語は何から勉強すればいい?も参考にしてください。

学習範囲の優先順位を一人で決めにくい場合は、ミライデザインラボの入試準備ゼミ1on1個別指導で、現在の答案から戻る場所を整理できます。

参考にした学習研究