文章題は「読む問題」だけではない

文章題が苦手だと、「国語力がないから」と言われることがあります。

もちろん、問題文を丁寧に読むことは必要です。けれども、読んだ内容を数学の形へ移す練習も必要です。

たとえば、次の問題を考えます。

1冊120円のノートを3冊と、1本80円のペンを2本買いました。代金はいくらですか。

計算そのものは難しくありません。

ノート代は 120×3
ペン代は 80×2
最後に二つを足します。

ここで必要なのは、数字を見つけることだけではありません。「1冊分×冊数でノート代」「1本分×本数でペン代」「二つの代金を合わせる」という関係をつかむことです。

式を立てる前に確認する4つ

1. 最後に何を答えるのか

最初に、問題の最後の一文を確認します。

「何を求めなさい」と書かれているでしょうか。

  • 代金
  • 距離
  • 時間
  • 人数
  • 割合
  • 速さ

求めるものが決まると、必要な情報と使わない情報を分けやすくなります。

答えの単位も先に書いておくと効果的です。円を求める問題なのか、分を求める問題なのかで、式の意味が変わります。

2. 数字に名前と単位をつける

問題文に出てきた数字だけをメモすると、どの数字だったかわからなくなります。

120、3、80、2 ではなく、次のように書きます。

  • ノート1冊:120円
  • ノート:3冊
  • ペン1本:80円
  • ペン:2本

数字に名前をつけると、掛ける組み合わせが見えてきます。

速さの問題なら、60 だけでなく 時速60km と書きます。割合の問題なら、20 が20人なのか20%なのかを区別します。

3. 数量の関係を短い言葉か図にする

いきなり数式にしなくても構いません。

まず、関係を短い日本語で書きます。

  • 1冊分×冊数=ノート代
  • 1本分×本数=ペン代
  • ノート代+ペン代=全部の代金

距離なら線分図、割合なら「もとにする量・割合・比べる量」のメモ、関数なら表を使うと整理しやすくなります。

図はきれいに描く必要はありません。何と何がつながっているか、自分が見返してわかれば十分です。

4. 式を声に出して説明する

式を立てたら、計算する前に意味を説明します。

120×3+80×2

なら、「ノート3冊分とペン2本分を足している」と言えれば、式と問題文がつながっています。

説明できないときは、まだ数字を並べただけかもしれません。計算へ進まず、2と3へ戻ります。

方程式でも、先に「何と何が等しいか」を書く

中学の問題で、同じ手順を試してみます。

1冊120円のノートを何冊かと、80円のペンを1本買ったところ、合計は680円でした。ノートを何冊買いましたか。

求めるのはノートの冊数です。これをx冊とします。ノート代は120x円、ペン代は80円。「二つの代金を合わせると680円」という関係を式にします。

数量の関係を、そのまま式にする
ノート代
120x円
ペン代
80円
合計
680円

120x + 80 = 680 → 120x = 600 → x = 5

答えは5冊。最後に、120×5+80=680となるかを確認します。x=5で終わらず、「5冊」と求められたものの名前を戻すところまでが解答です。

自分でも、合計だけを800円に変えて試してください。立てる式は120x+80=800、答えは6冊です。式の形が同じになる理由を説明できれば、数量の関係を使えています。

中学数学で止まりやすい文章題

中学数学では、学年が上がるにつれて、数字の関係を文字で表す問題が増えます。

特に止まりやすいのは、次のような問題です。

  • 正負の数を使う増減
  • 文字式で数量を表す問題
  • 方程式の文章題
  • 比例・反比例や一次関数
  • 図形の面積・体積
  • 確率や資料の活用

どれも、公式を覚えるだけでは解ききれません。

「何を求めるか」「わかっている数量は何か」「数量どうしにどんな関係があるか」を整理してから、習った式や公式を選びます。

中学数学全体の学び方を確認したい場合は、安城市の中学生向け数学ガイドも参考にしてください。

関数の文章題で式・表・グラフの関係がつかめない場合は、一つの一次関数を三つの形で見る練習も試してください。

解説を読んだ後は、もう一度「式まで」をやる

文章題の解説を読むと、「なるほど」と感じます。

でも、そのまま次の問題へ進むと、自分で式を立てる練習が残りません。

おすすめは、解説を閉じて、同じ問題をもう一度やることです。そのとき、答えまで計算することより、次の4点を自分で再現できるかを確認します。

  1. 求めるものを書く
  2. 数量に名前と単位をつける
  3. 関係を言葉か図にする
  4. 式の意味を説明する

翌日、数字を少し変えた似た問題でも同じ手順を使えるか確かめると、「解説を覚えた」状態と「考え方を使える」状態を区別できます。

間違い直しでは「どこで止まったか」を残す

文章題を間違えたとき、正しい式と答えを赤で写すだけでは、次に生かしにくくなります。

代わりに、どこで止まったかを一言で残します。

  • 求めるものを読み違えた
  • 単位をそろえていなかった
  • 数量の関係が図にできなかった
  • 式は合っていたが計算で間違えた

この記録が3問、5問とたまると、自分が戻る場所が見えてきます。

計算ミスが多いなら計算へ戻る。数量の関係で止まるなら、簡単な数字の問題で図や言葉にする練習をする。全部を最初からやり直す必要はありません。

式は立てられるのに符号や計算で失点する場合は、ケアレスミスを減らす途中式の書き方で、間違えた行の確認方法を試してください。

保護者が声をかけるなら

お子さんが文章題で止まっていると、つい「足すの?掛けるの?」と聞きたくなります。

ただ、計算方法を先に教えると、本人が数量の関係を考える部分が抜けてしまいます。

次のように聞くと、考える場所を残せます。

  • 何を答える問題?
  • わかっている数は何?単位は?
  • その二つは、どんな関係?
  • 図にするとどうなる?

答えを教えるためではなく、止まっている場所を一緒に見つけるための質問です。

まとめ

計算はできるのに文章題が解けないときは、計算の前を確認します。

  1. 最後に何を答えるのか
  2. 数字の名前と単位は何か
  3. 数量どうしはどう関係しているか
  4. 立てた式を言葉で説明できるか

文章題は、問題文を読んですぐ計算する競争ではありません。

数字を関係へ変え、その関係を式へ変える。その途中を見えるようにすると、どこを練習すればよいかがわかります。

ほかの学習記事も見たいときは、中学生の勉強・成績ガイドからどうぞ。