定期テストでは、ある程度点数がとれている。
学校のワークも提出している。テスト前には勉強している。平均点を超えることもあるし、教科によっては80点、90点をとることもある。
それなのに、実力テストや模試になると、思ったように点数がとれない。
中学生を見ていると、こういうことがあります。
保護者の方からすれば、不思議に感じるかもしれません。
「定期テストで点数がとれているなら、内容は理解できているのではないか」
そう考えるのは自然なことです。
もちろん、定期テストで点数をとれることには意味があります。学校の授業を聞き、決められた範囲を勉強し、必要な知識を覚え、テスト当日に答えを出す。それも大切な学力のひとつです。
ただ、私たちは、定期テストで点数がとれることと、学んだ内容を自分の力で使えることは、必ずしも同じではないと考えています。
定期テストには、決められた範囲がある
定期テストでは、出題範囲が事前に示されます。
教科書の何ページから何ページまで。学校ワークの何番から何番まで。授業で使ったプリントやノートも、ある程度は範囲に含まれます。
つまり、何を勉強すればよいかが見えやすいテストです。
学校ワークを繰り返す。英単語を覚える。授業で扱った例題を解き直す。社会や理科の用語を覚える。
こうした準備によって、点数を伸ばすことができます。
それは決して悪いことではありません。決められた課題に取り組み、必要なものを覚え、期限までに準備する力も大切です。
しかし、範囲がはっきりしているからこそ、出題される内容や解き方をある程度予想できます。
習った直後で記憶も残っています。学校ワークとよく似た問題が出れば、解き方を覚えているだけでも答えられる場合があります。
このとき、「答えられた」という結果だけを見ると、どこまで理解しているのかはわかりません。
仕組みを理解して答えたのか。
解き方を覚えて答えたのか。
問題の形を見て、以前の答えを思い出したのか。
答案だけでは、この違いが見えにくいのです。
実力テストでは、「何を使うか」から自分で決める
実力テストや模試、高校入試では、範囲が広くなります。
中学1年生で習った内容も、中学2年生で習った内容も、今学習している内容も、ひとつのテストに混ざって出てきます。
問題を見ても、「これは連立方程式の問題です」「これは不定詞の問題です」と親切に書いてあるわけではありません。
何を問われているのか。
どの知識を使うのか。
どの手順で考えるのか。
そこから自分で判断する必要があります。
定期テストでは、「今は一次関数のテストだから、一次関数を使う」とわかります。しかし、実力テストでは、比例なのか、一次関数なのか、方程式なのかを、問題文やグラフから判断しなければなりません。
英語でも同じです。
現在完了の単元テストなら、現在完了を使うことは予想できます。しかし、入試の長文や英作文では、どの時制を使うのか、主語と動詞をどう組み立てるのかを、自分で決める必要があります。
つまり、実力テストでは、知識を持っているだけではなく、その知識を必要な場面で取り出して使う力が問われます。
「覚えている」と「使える」の間には距離がある
授業を聞いて理解した。
例題を見れば解き方がわかる。
学校ワークも、答えを確認しながらなら進められる。
これは、学習の途中段階として大切な状態です。しかし、まだ自分の力で安定して使える状態とは限りません。
学習には、いくつかの段階があります。
説明を聞いて、意味がわかった段階。
見本を参考にしながら、解けた段階。
何も見ずに、自分で解けた段階。
時間がたっても、少し形が変わっても使える段階。
定期テストでは、習った直後の記憶や、繰り返した問題の型を使って点数をとれることがあります。
一方、実力テストでは、時間がたっています。問題の聞かれ方も変わります。複数の知識を組み合わせる必要もあります。
そこで使えなくなるなら、学んだ内容が消えたというより、まだ安定して自分のものになっていなかったのかもしれません。
だから私たちは、点数だけを見て「できる」「できない」と決めるのではなく、その子がどの段階にいるのかを見る必要があると考えています。
英語では、教科書を覚えていても初めての文で止まる
英語では、この違いがわかりやすく表れます。
教科書本文を何度も読み、単語を覚え、学校ワークを繰り返す。すると、定期テストでは似た文が出るため、答えられることがあります。
ところが、初めて見る英文になると、急に読めなくなる。
これは、覚えた英文を再現する力はあっても、英文の構造を自分でつかむ力がまだ育っていない可能性があります。
主語はどれか。
動詞はどれか。
何が何を説明しているのか。
接続詞の前後がどうつながっているのか。
英文を文の形として見ることができなければ、知らない文章に対応するのは難しくなります。
英作文でも、教科書と同じ表現なら書けるのに、少し内容が変わると語順が崩れることがあります。
単語を知らないのではありません。文法を一度も習っていないわけでもありません。
知っている単語や文法を、自分で組み立てて使うところで止まっているのです。
数学では、同じ形なら解けても、少し変わると止まる
数学でも、学校ワークと似た問題なら解けるのに、実力テストになると止まることがあります。
例題と数字が違うだけなら解ける。
解き方が指定されていれば進められる。
授業で扱った形なら答えられる。
しかし、文章が長くなったり、図や表が加わったり、複数の単元が組み合わされたりすると、何をすればいいかわからなくなる。
この場合、計算方法は覚えていても、問題を読み取り、使う知識を選ぶ力がまだ安定していないのかもしれません。
数学の実力は、計算が速いことだけではありません。
条件を整理する。
図や表に置き換える。
何を求めるのかを確認する。
使える知識を選ぶ。
自分の答えが問題に合っているかを確かめる。
こうした過程を自分で進められることが必要です。
正解したかどうかだけを見ると、この過程は見えません。
だから、間違えた答案だけでなく、途中式やノート、手が止まった場所を見ることが大切になります。
点数がとれたことを、否定する必要はない
ここまで読むと、「定期テストの点数には意味がないのか」と感じるかもしれません。
もちろん、そんなことはありません。
定期テストに向けて勉強し、点数をとれたことは、その子が取り組んだ結果です。覚える力、繰り返す力、期限に向けて準備する力も表れています。
その努力を否定する必要はありません。
ただし、定期テストの点数だけで「もう理解できている」と判断するのも少し早い。
点数がとれたなら、次はそれを自分で使える力に変えていく。
定期テストは、学習の終点ではなく、途中の確認です。
そのあとに、少し時間を置いて解いてみる。聞かれ方の違う問題に取り組む。なぜその答えになるのかを説明する。間違えた問題を、答えを見ずにもう一度解く。
こうした経験によって、覚えたものが少しずつ使える力に変わっていきます。
実力を見るなら、「教えられるか」を確かめたい
本当に理解できているかを見る方法のひとつに、誰かに説明してもらうことがあります。
なぜこの式になるのか。
なぜこの英文ではdoを使うのか。
どこを見て、その答えを選んだのか。
間違っている箇所はどこで、なぜ間違いと言えるのか。
自分の言葉で説明しようとすると、わかったつもりだった部分が見えてきます。
答えは合っていても、理由を説明できないことがあります。逆に、計算ミスで答えは違っていても、考え方は正しく理解できていることもあります。
点数だけでは、この違いは見えません。
誰かに教える。正しい手順を示す。間違いの理由を説明する。
こうした活動は、理解を確認するだけでなく、自分の知識を安定させる学習にもなります。
「わかった」から「自分でできる」へ。
「自分でできる」から「安定して使える」へ。
その間をつなぐためには、答えを出すだけでは足りないのです。
入試対策では、知識を使う練習が必要になる
高校入試では、定期テストのように直前に習った単元だけが出るわけではありません。
中学3年間の内容から、さまざまな形で出題されます。
そのため、入試対策では、知識をもう一度覚えるだけでなく、初めて見る問題の中で使う練習が必要です。
英語では、長文を読み、設問の根拠を本文から探す。知っている文法を使って、英作文や並べ替えに対応する。
数学では、基本問題を安定してとりながら、関数、図形、文章題の条件を整理する。解けなかった問題について、どの知識まで戻る必要があるのかを確認する。
そして、どちらの教科でも大切なのが解き直しです。
間違えた答えを正しい答えに書き換えるだけではありません。
なぜ間違えたのか。
次はどこを見ればいいのか。
似た問題でも同じ考え方を使えるか。
ここまで確認して、初めて間違いが次の力になります。
ミライデザインラボでは、点数の下にあるものを見る
愛知県安城市のミライデザインラボでは、点数だけを見て、その子の力を判断しないようにしています。
点数は大切な情報です。
しかし、その点数がどのように生まれたのかを見ることも必要です。
覚えて答えられたのか。
仕組みを理解して答えたのか。
少し形が変わっても使えるのか。
時間がたっても、自分で再現できるのか。
答案、途中式、ノート、説明の仕方、手が止まった場所。そうしたものを見ながら、今どの段階にいるのかを考えます。
定期テストで点数がとれたことは、ひとつの成果です。
その成果を、実力テストや高校入試でも使える力に変えていく。
そこまでが、学びの大切な過程だと考えています。
中3生向けの愛知県立高校入試対策ゼミでは、英語と数学の問題演習を通して、知識を入試で使える形に整えていきます。
定期テストでは点数がとれるのに、実力テストになると下がる。解説を読めばわかるけれど、初めて見る問題では手が止まる。受験勉強で、何から始めればよいかわからない。
そんな場合は、点数を増やす前に、今の知識がどこまで使える状態になっているかを確認してみてください。
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